第28回
最終回 WRX STIの世界展開

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新型WRX STI開発のPGM(プロジェクト・ゼネラルマネージャー)の森宏志(49)。
WRX STIの世界展開を終えて、さらに闘志を燃やすスバル・エンジニアである。

■世界中にスバル・ファンとユーザーの声を集めて、新型WRX STIが誕生し、そして成長進化が開始された

 新型インプレッサWRX STI開発のPGM(プロジェクト・ゼネラルマネージャー)森宏志(49)は、あわただしい半年間をすごしていた。
 昨年10月の東京モーターショーでWRX STIのワールドプレミアム(世界初発表)をはたしてから、休む間もない日々が流れていた。

 東京モーターショーに付随して開催した外国人記者対象のWRX STI試乗会を皮切りに、国内メディアを対象とした試乗会が続いた。その試乗会は一般公道のみならず、WRX STIのポテンシャルを確認できるサーキットを舞台にしたものがあった。また国内販売を促進するために、お客様を対象として全国各地で開催したさまざまな販売促進イベントを駆けめぐった。
 こうして国内行脚をすますと、世界展開が待っていた。世界各地域でWRX STIの発表発売イベントを展開していくのである。

 10月下旬にアメリカ・ロスアンジェルスへ飛んだ。ロスアンジェルス・オートショーで、WRX STIの北米中米における正式発表をおこなうためであった。アメリカ、カナダ、メキシコは同日発表と計画されていた。オートショーで発表をすると、サンフランシスコ近くの名門ロードコースであるラグナセカで、北米の自動車担当記者たちを集めたサーキット試乗会を開催した。
 11月はヨーロッパ地域での発表発売を宣言するためにイタリアのボローニャ・モーターショーへ出かけた。モーターショーの会場内に設置されたミニ・コースでお客様を対象とした同乗試乗会を開催した。
 2月はオーストラリア地域での発表試乗会をタスマニアのサーキットで開催した。4月になると中国の上海モーターショーで発表イベントをおこなった。
 世界各地を旅してWRX STIの発表を続けてきた森宏志は、こう言っている。

「どこの国でも、WRX STIは正常進化して洗練されたという評価をいただいた。いままでのスパルタンなWRX STIから、伸びやかにしなやかに気持ちよく走るピュアスポーツへと進化したという評価でした。そうした走りの評価は、私たちの狙いどおりでしたが、世界各地域をめぐって、ひとつの大きな心配が解消したのです。それは北米やオーストラリアといった、伝統文化的にセダン好きの国や地域で、5ドアの新型WRX STIが、どう思われるかという心配です。結果的に心配無用でした。WRX STIは走りを楽しむスペシャルなクルマだから、個性的な5ドアであっても気にならないという意見が大多数だったのです。世界各地を旅することで、新型WRX STIが、世界中のクルマ好きに受入れられたという実感を、私は持ちました」

 アメリカのラグナセカ・サーキットでは、名物コーナーのコークスクリューで、充分なサスペンション・ストロークとダブルウィッシュボーンのリアサスペンションが性能を発揮して高い評価を得た。イタリアのスバル・ディーラーのオーナーは「イタリアン・レッドのボディカラーがあったら大人気になるはずだ」と熱心なアドバイスをくれた。オーストラリアではアップダウンのあるワインディングロードを走るときの気持ちのよさを褒められ、中国では日本円に換算すると750万円を越える価格になるというのに購入オーダーが殺到することに驚かされた。

 そうしたひとつひとつの体験を、森宏志は新型WRX STIを成熟させていくための糧なのだと考えた。世界中のスバル・ファンやWRX STIユーザーの声に耳を傾けることで、新型WRX STIが成長進化していくのだと確信している。
 世界展開が落ち着いた頃に、日本のユーザーの声が森宏志の耳に届くようになった。古くからのWRX STIファンや新規のユーザーなど、人それぞれに新型WRX STIについての意見や感想が伝わってきた。
 森宏志はいま、こう言っている。

「世界中のユーザーのみなさんから意見や感想をいただき、とても感謝しています。そのみなさんの声を糧にして、WRX STIを進化させていく仕事がしたいと私は熱望しています。つねに最高のWRX STIをお客様に提供するために働きたいと思っています」
 この天真爛漫なクルマ好きのPGMは、ひとりのスバル・エンジニアとして、さらなる技術開発への意欲を語る。あくなき技術進化こそがスバル・エンジニアの真骨頂であるからだ。森宏志は理想のWRX STIをめざして前進を続けるだろう。それがスバル・エンジニアの生きる道なのだ。
 新型インプレッサWRX STIは、こうして誕生し、いま成長進化を開始した。(終)

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森宏志は、心底からクルマを愛する、天真爛漫にして熱血漢のスバル・エンジニアである。
新型WRX STIの飽くなき成長進化を誓う。

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