SUBARU CYCLE FAN CLUB

リレーコラム#01 栗村 修さん「子供には“楽しい”を学ばせたい」

元プロロード選手、監督。引退後は日本自転車普及協会に籍を置いて自転車の普及につとめながら、テレビでロードレースの解説もこなす。まさにマルチな活躍を見せる栗村修さん。彼が考える「子供と自転車」とは――。

自転車原体験は父親との鎌倉ライド

ロードレースチーム「宇都宮ブリッツェン」監督時代の栗村さん。

「自分にとっての“自転車の原体験”と言えば、父親と走った鎌倉までのライドでしょうね。当時住んでいた川崎から鎌倉まで、往復で約70kmを父親と走ったことをすごく覚えています。最後の方は「もう走りたくない!」と泣き言というか悪態をついていましたが(笑)、今となっては本当にいい思い出です。

元自転車選手なので、子供の頃から自転車漬けだと思われることが多いのですが、真剣に自転車に取り組んだのはずいぶん大きくなってからです。子供の頃の自分にとって自転車は楽しむためのものでした。

実はあとから知ったのですが、自転車の本場であるヨーロッパでは、これがあたり前の考え方なんですよね。小学生くらいまでは“転ばない”、“きちんと止まる・曲がる”など自転車を扱うテクニックを学ばせて、キツいフィジカルなトレーニングは高校生くらいになってから、というのが常識。
子供のころは自転車で風を切る「楽しい」という感覚を学ばせるのが大事という考え方です。

道路に出れば、子供であっても“交通社会”の一員

自転車は転んだりケガをしやすいスポーツ。危険と隣り合わせです。危ない目にあったり、ケガをしてしまったりすると楽しくない、だから楽しくなるように、安全な乗り方を子供の頃にしっかり学ばせるのがヨーロッパです。

さらに自転車は他のスポーツとは違っていて、体育館やグラウンドなど囲われた中で行うものではありません。自転車に乗るということは「交通社会の一員になる」ということを意味しています。ヨーロッパでは、テクニックと同時に交通ルールを学ぶことも学校教育の中に組み込まれていて、子どもたちが“街で自転車を乗ること”が楽しめるようになっています。

「競争、スポーツ」という側面もあれば、「社会ルールを遵守する」という側面もあるのが自転車の特徴。現実的な話をすれば、被害者にも加害者にもなることをしっかりと教える必要があります。楽しむためには、守らなくてはいけないことがあるんです。

交通ルールを守れる子供はセイフティドライバーになる

交通ルールを守れる子供を増やしていくことは、将来の日本を作ることにもなると思っています。基礎的な乗り物である自転車を使って、将来の安全な交通社会を作ることもできるでしょう。私は様々な活動を通じて子供の自転車教室にも携わっていますが、そのことを最近、強く感じるようになりました。

これには親御さんの協力が不可欠です。子供がルールを守るためには親自身がルールを守る姿を見せなければいけません。普段から親自身がその姿勢を子供に見せていく。それが一番の教育ではないでしょうか。

自転車で交通ルールを学び、“自転車の乗り方”をマスターして成長すれば、交通弱者の気持ちがわかる自動車のドライバーになるでしょうね。きっと彼らはセイフティドライバーになってくれると思います。

栗村 修さん
財団法人 日本自転車普及協会 主幹。プロロード選手、監督を経て引退後は国内外のロードレースの解説、自転車普及のための講演活動などを精力的に行う。著書、雑誌のコラムも多数。

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