2020年6月30日に改正された道路交通法(以下道交法)では、自転車のあおり運転にあたる「妨害運転」への罰則が新しく規定されました。コロナ禍によって自転車を利用する人が急増する中、自転車のルールやマナーを守ることがこれまで以上に求められています。そこで今回は改正された道交法を改めて学びながら、東京をぐるりと囲うように鎮座する五色不動(ごしきふどう)をめぐるツアーに出かけることにしました(第1回/全2回))。※コロナウイルスの感染を拡大させないために撮影、取材で守ったルールはこちら
自転車のあおり運転も罰則対象に。改正道交法を守って走る「五色不動めぐり」前編

道交法の改正で自転車の罰則が強化
自転車の危険行為としてこれまで道交法で規定されているのは以下の14項目です。自動車を運転する人からみればあたり前のルールですが、危険な自転車運転が後を絶たないことから2018年に施行されています。
1.信号無視
2.遮断踏切立ち入り
3.指定場所一時不停止等
4.歩道通行時の通行方法違反
5.制動装置不良自転車運転
6.酒酔い運転
7.通行禁止違反
8.歩行者用道路における車両義務違反
9.通行区分違反
10.路側帯通行時の歩行者通行妨害
11.交差点安全進行義務違反
12.交差点優先者妨害等
13.環状交差点安全進行義務違反等
14.安全運転義務違反
今回の改正では15番目の項目として自転車の「妨害行為(あおり運転)」が加わることになりました。
自転車利用者にもあおり運転など悪質な運転も増えていることから、自動車同様に罰則が設けられることになりました。
自転車の場合は「14歳以上の運転者」が以上の危険行為を繰り返し「3年以内に2回以上摘発された場合」に、公安委員会から受講命令書が交付され安全講習を受講することが義務付けられています。各自治体ごとに実施状況が異なりますが、東京都の場合、安全講習は約3時間、受講手数料は6,000円。自転車の運転ルールや危険行為に関する学習、交通ルールなどの理解度チェックなどが実施されます。

出典:警視庁
自転車の「あおり運転」とは?
では具体的に自転車の「あおり運転」とはどのようなものでしょうか?今回、規定されたのは以下の7項目です。
1.逆走して進路をふさぐ/対向車線にはみ出す(通行区分違反)
2.幅寄せ(安全運転義務違反)
3.急な進路変更(進路変更禁止違反)
4.不必要な急ブレーキ(急ブレーキ禁止違反)
5.ベルを執拗に鳴らす(警音器使用制限違反)
6.車間距離を極端に詰める(車間距離の不保持)
7.危険な追い越しをする(追い越し違反)
そもそも「あおり運転」自体がクルマを念頭に置いた規定のため、「対歩行者」や「対自転車」で考えると、「7」の「危険な追い越し」などは自転車にあてはまりにくいと感じられる部分もあります。しかし「対クルマ」で考えると反対車線に飛び出したり、クルマの前で急ブレーキをかけたり、運転手を挑発しながら蛇行運転をしたりなどの行為が近ごろ問題になっている自転車の危険な運転であり、あおり運転に該当します。
以下の3項目は特に注意したいポイントです。いつもルールを守ることを念頭においていますが、今回は特にうっかりあおり運転をしないように気をつけて自転車ツアーに出かけることにしました。

①「車両」に区分される自転車は左側通行。逆走は通行区分違反になります。

②安全走行、ソーシャルディスタンスの観点からも、車間距離は十分にとりましょう。※自転車乗車時の車間距離についてはこちらの記事を参照。

③自転車のベルは、自動車のクラクションに相当する警報器です。「警笛鳴らせ」の道路標識がある場所以外では、危険防止のやむをえない場合を除き鳴らしてはいけません。
今回利用するのはシェアバイク。「自転車×電車」で行くゆったりツアー

さていよいよ、五色不動巡りに出かけます。気温も高くなってきたこともあり、熱中症に気をつけながら今回はシェアバイクと電車を利用して、走行距離をあまり伸ばさずのんびり愉しむことにしました。シェアバイク(自転車)は、自転車を借りる点はレンタルサイクルと同じではあるものの少し異なり、目的によってはレンタサイクルよりも便利に使用できる新しい交通手段です。あくまで一般例ですが、両者には次のような違いがあります。
●レンタルサイクル
・利用する時にはレンタルサイクル店を訪れ、返却は基本的に同じお店へ返す。
・お店で身分証明書などを提示し必要事項を記入。料金を支払って借りる。
・料金は3時間、半日、1日と比較的長め。
●シェアサイクル
・お店ではなく、街に点在するサイクルポートに置いてある自転車を利用。返却は他の場所にあるサイクルポートでもOK。
・スマホやICカードを利用しキャッシュレスで借りることができる。
・料金は15分から利用できるものもあり、短時間の使用が可能。
今回はルートが広範囲に渡り、基本的に電車を利用しつつ、駅近くのサイクルポートで自転車をピックアップして、また電車に乗って・・・を繰り返すため、レンタルサイクルよりもシェアサイクルのほうが便利だと考えました。国内にもいくつかシェアサイクルがありますが、今回はその中でもっともサイクルポートの数が多い「ドコモ・バイクシェア」を利用して五色不動を巡ります。この自転車は電動アシスト付きのため、坂道が多い都内でも楽に移動することができます。

専用のアプリをダウンロードして名前等の個人情報や支払い方法などを入力する手間はありますが、入力後は簡単です。まずは乗り出したい付近のサイクルポートをアプリのマップで探し、そこに自転車があるかを確認します。

近ごろは通勤で利用しているユーザーが多いせいか、サイクルポートに行っても自転車がないこともあるようです。あらかじめ専用アプリでポートに置いてある自転車の台数や充電状態が確認しておくといいでしょう。充電量が多い自転車を選ぶのがポイントです。

定期的にメンテナンスはされているものの、走行前にタイヤの空気圧もチェックしましょう。

自転車を選んでから、後方に設置された操作パネルに暗証番号を入力するとロックが解除されます。
今回はここまで。次回の後編では電車とシェアバイクを利用して五色不動を巡ります! お愉しみに!!