SUBARU車を愛してやまないスバリストなサイクリストを紹介する注目企画。第二回目は、シクロクロス競技のマスターズカテゴリーで破竹の勢いで勝利を重ねている太田好政さんの愛車、フォレスターを紹介。タフなレース遠征に欠かせない相棒と共にあるサイクルライフをお聞きした。
スバリストなサイクルライフ


長年、銀行勤めのフルタイムワーカーである太田好政さん。2012年、34歳のときに自身の誕生日にロードバイクを購入すると、1年も経たずに会社の同僚に誘われてMt.富士ヒルクライムレースに出場。帰宅が23時近くになることもある多忙な銀行業務と家族との時間を両立しながら、これまでヒルクライムレースやロードレースにチャレンジし、数々のレースで優勝や入賞を重ねてきた。特にこの3年は、おもに不整地をパワーとスキルで勝負するシクロクロス競技に参戦。マスターズ(40-49歳)全日本選手権で表彰台に上がると、2020~2021シーズンは年間シリーズチャンピオンにも輝いた。

2021年冬、土浦で開催された全日本選手権のマスターズ40-49歳カテゴリーで先頭を走る太田さん
そんなシクロクロッサーであり、アマチュアトップレーサーでもある太田さんは、今年3月に本格SUVのフォレスターXTを手にした。過去に損害保険に関わる仕事をする中で様々なクルマに興味を持ち、クルマを多く買い替えることもあり、2年おきくらいに乗り換えてきたが、今回のフォレスターは初めてのスバル車だ。


「スバルに決めた理由は、スバルのディーラーさんの人柄でしょうか。他のブランドも候補でしたが、今回のスバルの営業担当者が、車を買ってほしいではなく、自社のクルマの特徴を一つひとつ丁寧に紹介してくれるスタンスで好感を持てました。フォレスターやレヴォーグなど各モデルの特徴や中古車ならではのメンテナンスのポイントを説明してくれましたね」
このように営業を前面に押し出さない担当とのやりとりの中で、スバル車への気持ちが強くなった。もちろん、今回スバルにした理由はそれだけではない。毎週のようにあるレースの遠征を、安心して快適に過ごせる車であることがキーポイントだった。
「ルーフキャリアに2台載せることが多いですが、雨天時にはバイクを濡らしたくないので室内に積みます。フォレスターは室内高が高めです。僕のフレームサイズは大きめですが、前後ホイールを外した状態でフレームを縦積みできる点が魅力なのです。一人で移動するときは、そのまま横倒しで積んでも余裕がありますし、他の荷物もストレスなく積み込めるスペースの広さがあります。ラゲージスペースのシートを倒して、わりと純正ままで使用しています」

ルーフキャリアはINNO(イノー)のエアロベースバーにホイール固定型のキャリアを2台装備させ たスタイリッシュなスタイル
SUVスタイルでも室内に縦積みができるモデルが多くはない中で、フォレスターは太田さんの希望を叶えてくれた。また、自転車のレース遠征では自転車以外の荷物も多くなる。特にシクロクロスではレース後の泥よごれを落とすためにも高圧洗浄機や、濡れたシューズを乾かす靴乾燥機なども欠かせない。

「シクロクロスでは荷室を汚しやすいので、現場でバイクの汚れを落とせる高圧洗浄機はいつも車内に積んでいます。またシクロクロスのシューズは2足用意していますが、試走で濡らしてしまったり土日連続レースだったりしたとき用にすぐに乾燥できる靴乾燥機も重宝しています。そして、大容量モバイル電源があれば安心です。電源のない会場でもバッテリー切れの心配なく高圧洗浄機を使えます。また、休日に外で仕事をする時もあるので、そんな時にもモバイル電源は役立ちます」


このほかにも、空気入れ、ウォーミングアップ用のローラー台、工具箱など、荷物が多くなるレース遠征時も、フォレスターならバイクを室内に積んでも十分なスペースを確保できる。
サイクリストにとって、バイクの積みやすは車選びの前提条件。そのほか、太田さんがフォレスターを選んだ理由は、冬場のシクロクロス遠征を安心して参加できること。そして走行時の快適性にもある。
「真冬のシクロクロスでは雪道移動もあるので、安心して遠征ができる車であることも大切です。その点、四駆で280馬力のフォレスターXTは山道やマッドなレース会場の駐車場でも走破性が高いと思います。秋からのシクロクロス遠征が楽しみです。それと、シートヒーターもレース前後の身体のケアに最高です。血行が促進されて筋肉が温まるので、冬でない今の季節でも使っています。この前、東京から新潟まで遠征しましたけど、疲れを感じることなく到着してすぐに100kmほどグラベル(砂利道)ライドを楽しめました。レース後もなるべく早く回復させたいので、帰りのドライブ中からシートヒーターを使って回復させています(笑)」

年間を通して週末をレース遠征で過ごす太田さんにとって、サイクリストならではのシートヒーターの活用や、レース会場まで安心して移動できるSUVならではの走破性はお気に入りのポイントだ。ほかにも、高速走行時の安定性や、アイサイトのアシストコントロール機能を実感している。

「アクセルを踏み続けなくても高速クルージングができるエンジン性能や、横風に煽られない重厚感は頼もしいです。以前は高速で踏み続けないと速度を維持できなかったので疲れてしまっていましたが、長時間運転でも快適ですね。初めてのアイサイトですが、想像以上に運転を任せられるので長距離ドライブも楽で驚いています」
高速道路走行時には、全車速追従機能付きのクルーズコントロール機能、アクティブレーンキープ機能など快適なドライビングをサポートしてくれる運転支援システムのアイサイト。毎週のように長距離移動が続く太田さんにとって、レースでのパフォーマンスにも移動時の快適性は影響してくる。このように、新たな愛車となったフォレスターXTはレースを共に戦う大切な相棒になりつつある。

ドライブ中も積極的に給水するため、1.5リットルサイズなどの大容量ペットボトルが挿せる大口径ドリンクホルダーは重宝している

土日も運転中に仕事の電話がかかってくることがあるため、クリップ式のハンズフリーの電話をつけている
34歳から始めたロードバイクライフ。近年チャレンジしているシクロクロス競技。一昨年シーズンは8レースほど出て4戦で表彰台に上がった程度だったが、昨年シーズンは17レースに参戦して8勝を上げ、さらに17戦すベて3位表彰台という大躍進を遂げた。

2021年秋、スーパークロス野辺山で先頭を追う太田さん。ゴールスプリントで勝利を掴んだ

先日の富士ヒルクライムでは、直前の落車で負った肋骨骨折を抱えながら、シクロクロッサーらしくシクロクロスバイクで出走。タイヤだけロードモデルに変えただけのバイクで、1時間3分台でフィニッシュ。今年目標に掲げたシクロクロスバイクでゴールドリング(Mt.富士ヒルクライムを1時間5分未満で完走)を獲得。
44歳になった今も、ヒルクライムからシクロクロスまでジャンルを問わずアマチュアトップで結果を出し続けるには、日々どのようにトレーニングをしているのだろうか。太田さんの主な練習エリアは、西に住むサイクリストにとってはお馴染みの蓮光寺の坂道だ。毎週水曜の早朝には「おはサイ」と呼ばれる朝練に顔を出し、週末には 富士山方面に遠征して距離を乗り込んだり、1kmほどの登坂を走れるいろは坂(多摩市にある坂道)でのリピート練習を積んでいる。

「練習時間は、起床さえすれば安定的に確保できる早朝に行なっています。朝4時30分から朝練に出かけています。水曜日のおはサイでは、実業団トップレーサーたちと一緒に切磋琢磨できるのでフィジカルを鍛えてもらっています。シクロクロスは本格的にはじめてまだ3年目ですが、全日本チャンピオンはじめ経験豊富なトップ選手たちと話をする機会を得られたことが大きかったですね。昨年あたりからレースの合間やレース後に積極的に話しかけて、走り方やトレーニング方法などを聞く機会を得られました。彼らの講習会にも参加してスキル面、機材面など色々と吸収できました」
2021~2022シーズン、勝利を重ねるごとに太田さんがシクロクロス初心者から声をかけられる機会も増えていった。そのような中で、知識やスキルをわかりやすく人に伝えられるように日々頭で整理していることも、自身の競技力向上にプラスに働いているそうだ。

シクロクロスには、メインバイクのジャイアントTCXアドバンスドプロと、サブバイクのキャニオンのインフライトCF SLXの2台体制で挑む

光線具合で変化するTCXのトップチューブカラー(パンサーカラー)と流線形に細く伸びるトップチューブの美しさが気に入っている

レバーは握りやすさを重視したシマノGRXコンポーネント。アッセンブルして半年ほどながらすでに戦績の爪痕が残されている

フロントシングルで、ウルフトゥースのチェーンリング(44Tや42T)を導入。リアメカは泥づまりがしにくいMTB用コンポのXTRというミックスコンポスタイル

スキルよりもパワーでアドバンテージを稼ぐ走りのスタイルの太田さんは、直進での転がり抵抗を低減させる狙いでセンターノブをハサミを使ってカットしている。バイクを倒した時のグリップは落ちるが、コーナーは攻めないと割り切っている
今シーズンはレース遠征を強力にサポートしてくれる新たな相棒であるフォレスターXTを手にした太田さん。先日はMTBエンデューロでも勝利するなど、ますますマルチに活躍の幅を広げる。今シーズンの大きな目標は、過去2位、3位となっているシクロクロス全日本選手権(マスターズカテゴリー)での優勝だ。スバリストになった熱いオヤジレーサーから目が離せない。

TEXT&PHOTO
ハシケン(橋本謙司)
自転車業界のメディアの立場として活動を続けて15年になるフリーランスの自転車ジャーナリスト。専門誌やウェブメディアにて連載をもち、スポーツ自転車の情報を広く発信。日本各地のサイクルツーリズム振興施策やバーチャルスポーツアプリ「ROUVY」のプロモーション、リアルイベントの企画・広報などにも携わる。過去にMt.富士ヒルクライム一般の部優勝など、自身もアマチュアレースを走り続ける。
https://www.hashikenbase.com