はじめての輪行のやり方
筑波山から距離20kmで、つくば駅(つくばエクスプレス)に到着。今回のお花見サイクリングはここまで!駅に隣接する「つくば総合インフォメーションセンター」内には、土浦駅同様に、自転車の組み立てスペースが用意されています。
ここから、輪行の具体的なやり方を紹介しましょう。
輪行とは、鉄道に限らず、飛行機や船など公共交通機関に載せることです。その中で今回は鉄道での輪行についてのやり方です。
輪行袋の中にもハードケースのものからナイロン製で軽量な作りのタイプまで様々です。鉄道での輪行では、シンプルで軽量なタイプがおすすめです。今回使った輪行袋はこちら。国内で基本的には輪行袋を専業にしている「オーストリッチ」ブランドの「L-100」モデルです。
このL-100を使って輪行の手順を紹介していきましょう。L-100の特徴は、比較的安価で購入でき、素材が軽量なので持ち運びがラクという点と、前後ホイールとも外してコンパクトに収納できるという点です。他のモデルの中には、前輪だけを外して収納するタイプもあったりします。
①【前後のホイールを外す】
輪行袋を広げると大きく感じますが、実際に収納するとコンパクトに。まず前後輪を外して、バイクを逆さにします。このとき、ボトルやサイクルコンピューターは取り外しておきましょう。ボトルの水がこぼれたり、サイクルコンピューターが地面に当たって傷がついてしまう恐れがあります。
②【後輪を外した部分に、専用のエンド金具を取り付ける】
エンド金具は自転車を縦に自立させた時に、サドルの後端とエンド金具部分で支える形になる。ポイントは取り付け角度。逆さにしたフレームの状態で、エンド金具が地面と水平になるように取り付ける。ただし、サドルの取り付け位置やフレームの設計によっては、必ずしも水平とは限らないので微調整は必要。とはいえ基本は地面と水平に!固定力が緩いと輪行中にエンド金具ごと曲がってしまうのでしっかり固定しましょう。
③【フレームに傷がつかないように養生】
輪行袋の中でフレームとホイールが干渉して傷がつかないように、フレームに養生シートを巻きます。こちらは専用の養生シートですが、必ずしも専用品である必要もありません。養生する部分は、フレームとホイールが干渉やしすいところ。リアホイールのギヤ(スプロケット)部分にもカバーを被せれば完璧です。
④【ひもで3点固定】
ひもを使って、フレームとホイールをしっかりと3点固定します。フレーム部分は、ひもで1回転巻いたあとにホイールに通して固定すると固定力が上がります。
⑤【輪行袋へ収める】
フレームとホイールを固定したら自立します。袋の内側にサドルと変速ギヤの位置が示されているので、その通りにバイクを置きます。
⑥【肩ひもを取り付ける】
輪行袋に完全に収める前に、肩ひもをフレームのBBとヘッドチューブの2箇所に結びます。BB側は輪行袋に空いている穴を通すことで袋に干渉せずに、肩ひものラインがスムーズになります。
⑦【完成。お尻を後ろに振ると持ち運びがラク】
肩にかけるようにすると持ち運びもラク。さらに、お尻を少し後ろに振るように支えてあげると、地面からの距離を取れるため、階段の移動や小柄な人にとってもストレスを軽減できる。
現在のロードバイクには、ブレーキシステムが従来のリムブレーキとディスクブレーキの双方が存在する状況。今回はリムブレーキのバイクを例に紹介しましたが、ディスクブレーキの場合も基本的には輪行の手順は同じ。ただし、いくつか注意点があるので、2つほど紹介します。
①【ブレーキキャリパーにダミーローターを挟む】
ホイールを抜いた状態のままブレーキレバーを強く握るとトラブルの原因になる。それを防ぐために、ブレーキキャリパーにダミーローターを挟んでおくと安心。
②【エンド金具はリムブレーキと異なる専用品】
エンド金具は、ディスクブレーキ専用品を使う。ディスクブレーキのスルーアクスルを金具に通して固定する。スタンダードな142mmエンド幅意外にもサイズがあるので、自身のバイクの規格を確認してから用意しよう。
いかがだったでしょうか。難しく感じたかもしれませんが、実際に作業をして、繰り返すうちに誰でも簡単に輪行作業ができるようになるものです。今回紹介した輪行のやり方は、あくまでひとつの例です。逆に、今回の輪行袋L-100を販売するオーストリッチの公式サイトでは、より細かい行程も紹介されていますので、そちらをご覧ください。
いずれにしても、輪行ができれば、公共交通機関に愛車を乗せて、どこへでも走りに行けます。ロードバイク初心者の、脱ビギナーの証とも言える輪行。ぜひマスターして輪行サイクリングデビューしてください。
指定席のない鉄道で輪行する場合は、必ず専用の輪行袋に収納しましょう。厳格なルールはありませんが、他の乗客に迷惑になりにくい場所を選んで運ぶことが大切です。乗降者の際は最後にするなど、周りへの配慮をもって行動しましょう。
例年、筑波山や霞ヶ浦の桜の開花ピークは3月下旬から4月上旬まで。最新の開花情報をチェックして、「つくば霞ヶ浦りんりんロード」のお花見サイクリングを楽しんでください。その際はぜひ輪行自体もイベントとして楽しんでください。
TEXT&PHOTO
ハシケン(橋本謙司)
自転車業界のメディアの立場として活動を続けて15年になるフリーランスの自転車ジャーナリスト。映像と写真と文字で伝えることが専門。専門誌やウェブメディアにて連載をもち、スポーツ自転車の情報を広く発信。e-Mobility協会スペシャルパートナー。日本各地のサイクルツーリズム振興施策、リアルイベントの企画・広報などにも携わる。乗鞍・冷泉小屋スタッフ。過去にMt.富士ヒルクライム一般の部優勝など、自身もアマチュアレースを走り続ける。
https://www.hashikenbase.com