SUBARU CYCLE FAN CLUB

輪行でお花見サイクリング ~輪行のやり方 教えます!~

スポーツ自転車はじめたなら輪行!

今年も色とりどりの草花を楽しめる季節がやってきました。暖かい日も増え、気持ち的にもちょっとサイクリングへ出掛けたくなる。ロードバイクをはじめてから、はじめての春を迎えている人も多いのではないでしょうか。

近所をサイクリングするだけでも、新しい景色に出会えたり、新しい体験が待っていることでしょう。でも日本各地には、まだ見ぬ素晴らしい場所がたくさんあります。そんな場所へ簡単に移動できる手段が「輪行」(りんこう)です。自転車を専用の袋に入れて、公共交通機関に乗せてサイクリングする目的地まで人と一緒に移動することを輪行と言います。輪行はロードバイクに代表される軽量で簡単にホイールを着脱できるタイプのスポーツ自転車ならではの移動スタイルでもあります。そんな輪行ができれば、スポーツサイクリングの世界は一気に広がること間違いなしです。

輪行でつくばの桜のトンネルへ

そんな魅力ある輪行ですが、じつはスポーツバイク初心者にとってはハードルが高いというデータも。たしかに、そもそも前後ホイールを外すという時点で初めてだと不安を感じるものです。そして、専用の輪行袋への収納方法、さらには実際に鉄道に乗せるときのルールやマナーは?そんな不安を解消すべく、今回は、輪行についてわかりやすく紹介していきます。
日頃から輪行を多用してサイクリングを楽しんでいるサイクリングアドバイザーの日向涼子さんが、ひと足先に春を楽しみに日帰り茨城サイクリングへ。目的地は、ナショナルサイクルルートにも指定されている「つくば霞ヶ浦りんりんロード」です。毎年3月中旬から4月上旬にかけて、見事な桜のトンネルのサイクリングを楽しめるとあって大人気スポットです。

輪行で土浦駅へ向かい、つくば駅から輪行で帰る

今回の、つくば霞ヶ浦・お花見サイクリングのプランは、輪行を上手に使ったプランになっています。
「東京都心から、つくば霞ヶ浦りんりんロードへ鉄道でアクセスする方法は2つあります。ひとつが、品川や上野からJR常磐線でつながる土浦駅。もう一つが、秋葉原から、つくばエクスプレス(TX)でつながるつくば駅。土浦駅は霞ヶ浦の玄関口、つくば駅は筑波山の麓駅になります。
今回は、都心から輪行で土浦駅へ向かい、霞ヶ浦をサイクリングしたのち、つくば霞ヶ浦りんりんロードを北上。筑波山ヒルクライムを少し楽しんでからつくば駅から輪行で帰るというプランです」

行きと帰りで駅を変えてサイクリングプランを立てることができるのも輪行の特徴。輪行バックはコンパクトに収納できるため、サイクリング中も携行できます。

車両の最後部座席を事前に予約しよう

それでは、輪行サイクリングへ出掛けましょう。今回、土浦駅まではJR常磐線の路線を走る特急・ひたちに乗車。ひたちに限らず、座席指定のある特急列車では、進行方向に向かって車両の最後部座席を事前に予約しておきましょう。この席は、シートの後ろに輪行袋を納めるだけのスペースがあります。
新幹線では「特大荷物スペース」付き車両もあるため、そこへ置くこともできます。利用の場合は、「特大荷物付きスペースつき座席」(最後部座席)を座席指定にて事前予約しましょう。

JR土浦駅は、駅ビル全体がサイクリングを全面に打ち出しています。駅ビルの商業施設内は自転車をそのまま押し歩きできるほどです。改札を出てすぐの場所には、自転車のメンテナンススペースが常設されています。ここで輪行袋から自転車を取り出して組み立てます。

霞ヶ浦と筑波山でお花見サイクリング

輪行のやり方は、つくば駅からの帰りのタイミングでご紹介します! 準備ができたら、いざお花見サイクリングへ出発です。「つくば霞ヶ浦りんりんロード」は土浦駅からスタートしています。駅から走りだしてすぐにコースへ入ることができ、霞ヶ浦湖畔のサイクリングを楽しめます。

この日は3月中旬。湖畔の桜の開花はもう少し先。とはいえ、朗らかな陽を浴びながらサイクリングを楽しみます。ちょうどこの記事が公開になる3月下旬には、霞ヶ浦総合運動公園エリアも満開の桜を楽しめるでしょう。

霞ヶ浦のレイクサイドサイクリングを楽しんだら、筑波山へ向けて「つくば霞ヶ浦りんりんロード」を北上していきます。土浦駅から筑波山麓まではおよそ20kmの道のり。完全にフラットで初心者にも快適なサイクリングを約束するルートです。

中にはいくつも休憩所が設置されているので、軽く休憩を挟みながら筑波山を目指します。トイレやベンチ、サイクルラックが設置されています。

筑波山が近づくと、つくば霞ヶ浦りんりんロードのなかでも桜のトンネルが楽しめる区間へ。この日(3月16日)の時点では、これから桜が満開を迎えるタイミング。それでも、一部桜が美しく咲いているところもあって、十分にお花見サイクリングを楽しみながらペダルを漕ぎます。

次第に大きくなってくる筑波山を望みながら走っているとお腹も空いてきたので、筑波山の中腹でランチ休憩。気軽な日帰りサイクリングなのに、こんな自然の中でサイクリングを楽しめなんて、さすが筑波山。これも、輪行を使うからこそ広がるサイクリングの世界。

お腹を満たしたら、ここからはつくば駅に向けて、さっき走ってきたサイクリングロードを南下して、つくば市中心街へ。道端には菜の花やタンポポなども咲き、春を存分に感じるサイクリングを満喫します。

はじめての輪行のやり方

筑波山から距離20kmで、つくば駅(つくばエクスプレス)に到着。今回のお花見サイクリングはここまで!駅に隣接する「つくば総合インフォメーションセンター」内には、土浦駅同様に、自転車の組み立てスペースが用意されています。

ここから、輪行の具体的なやり方を紹介しましょう。
輪行とは、鉄道に限らず、飛行機や船など公共交通機関に載せることです。その中で今回は鉄道での輪行についてのやり方です。
輪行袋の中にもハードケースのものからナイロン製で軽量な作りのタイプまで様々です。鉄道での輪行では、シンプルで軽量なタイプがおすすめです。今回使った輪行袋はこちら。国内で基本的には輪行袋を専業にしている「オーストリッチ」ブランドの「L-100」モデルです。

このL-100を使って輪行の手順を紹介していきましょう。L-100の特徴は、比較的安価で購入でき、素材が軽量なので持ち運びがラクという点と、前後ホイールとも外してコンパクトに収納できるという点です。他のモデルの中には、前輪だけを外して収納するタイプもあったりします。

①【前後のホイールを外す】

輪行袋を広げると大きく感じますが、実際に収納するとコンパクトに。まず前後輪を外して、バイクを逆さにします。このとき、ボトルやサイクルコンピューターは取り外しておきましょう。ボトルの水がこぼれたり、サイクルコンピューターが地面に当たって傷がついてしまう恐れがあります。

②【後輪を外した部分に、専用のエンド金具を取り付ける】

エンド金具は自転車を縦に自立させた時に、サドルの後端とエンド金具部分で支える形になる。ポイントは取り付け角度。逆さにしたフレームの状態で、エンド金具が地面と水平になるように取り付ける。ただし、サドルの取り付け位置やフレームの設計によっては、必ずしも水平とは限らないので微調整は必要。とはいえ基本は地面と水平に!固定力が緩いと輪行中にエンド金具ごと曲がってしまうのでしっかり固定しましょう。

③【フレームに傷がつかないように養生】

輪行袋の中でフレームとホイールが干渉して傷がつかないように、フレームに養生シートを巻きます。こちらは専用の養生シートですが、必ずしも専用品である必要もありません。養生する部分は、フレームとホイールが干渉やしすいところ。リアホイールのギヤ(スプロケット)部分にもカバーを被せれば完璧です。

④【ひもで3点固定】

ひもを使って、フレームとホイールをしっかりと3点固定します。フレーム部分は、ひもで1回転巻いたあとにホイールに通して固定すると固定力が上がります。

⑤【輪行袋へ収める】

フレームとホイールを固定したら自立します。袋の内側にサドルと変速ギヤの位置が示されているので、その通りにバイクを置きます。

⑥【肩ひもを取り付ける】

輪行袋に完全に収める前に、肩ひもをフレームのBBとヘッドチューブの2箇所に結びます。BB側は輪行袋に空いている穴を通すことで袋に干渉せずに、肩ひものラインがスムーズになります。

⑦【完成。お尻を後ろに振ると持ち運びがラク】

肩にかけるようにすると持ち運びもラク。さらに、お尻を少し後ろに振るように支えてあげると、地面からの距離を取れるため、階段の移動や小柄な人にとってもストレスを軽減できる。

現在のロードバイクには、ブレーキシステムが従来のリムブレーキとディスクブレーキの双方が存在する状況。今回はリムブレーキのバイクを例に紹介しましたが、ディスクブレーキの場合も基本的には輪行の手順は同じ。ただし、いくつか注意点があるので、2つほど紹介します。

①【ブレーキキャリパーにダミーローターを挟む】

ホイールを抜いた状態のままブレーキレバーを強く握るとトラブルの原因になる。それを防ぐために、ブレーキキャリパーにダミーローターを挟んでおくと安心。

②【エンド金具はリムブレーキと異なる専用品】

エンド金具は、ディスクブレーキ専用品を使う。ディスクブレーキのスルーアクスルを金具に通して固定する。スタンダードな142mmエンド幅意外にもサイズがあるので、自身のバイクの規格を確認してから用意しよう。

いかがだったでしょうか。難しく感じたかもしれませんが、実際に作業をして、繰り返すうちに誰でも簡単に輪行作業ができるようになるものです。今回紹介した輪行のやり方は、あくまでひとつの例です。逆に、今回の輪行袋L-100を販売するオーストリッチの公式サイトでは、より細かい行程も紹介されていますので、そちらをご覧ください。

いずれにしても、輪行ができれば、公共交通機関に愛車を乗せて、どこへでも走りに行けます。ロードバイク初心者の、脱ビギナーの証とも言える輪行。ぜひマスターして輪行サイクリングデビューしてください。

指定席のない鉄道で輪行する場合は、必ず専用の輪行袋に収納しましょう。厳格なルールはありませんが、他の乗客に迷惑になりにくい場所を選んで運ぶことが大切です。乗降者の際は最後にするなど、周りへの配慮をもって行動しましょう。

例年、筑波山や霞ヶ浦の桜の開花ピークは3月下旬から4月上旬まで。最新の開花情報をチェックして、「つくば霞ヶ浦りんりんロード」のお花見サイクリングを楽しんでください。その際はぜひ輪行自体もイベントとして楽しんでください。

TEXT&PHOTO

ハシケン(橋本謙司)

自転車業界のメディアの立場として活動を続けて15年になるフリーランスの自転車ジャーナリスト。映像と写真と文字で伝えることが専門。専門誌やウェブメディアにて連載をもち、スポーツ自転車の情報を広く発信。e-Mobility協会スペシャルパートナー。日本各地のサイクルツーリズム振興施策、リアルイベントの企画・広報などにも携わる。乗鞍・冷泉小屋スタッフ。過去にMt.富士ヒルクライム一般の部優勝など、自身もアマチュアレースを走り続ける。
https://www.hashikenbase.com

会員登録のご案内

スバルとクルマが好きな方なら誰でも会員登録できます。

  • 会員登録は無料
  • 車をお持ちでない方大歓迎
  • 他メーカーの自動車オーナーの方でも登録OK
SUBARU IDのご紹介 IDひとつで、もっと広がるスバルライフ!
#スバコミサイト内検索
マイスバル