だれでも簡単に楽しめる自転車ですが、クロスバイクやロードバイクなどのスポーツバイクは通常の自転車とは違い、準備やテクニックが大切です。今回は「これからスポーツバイクを始めたい!」「最近スポーツバイクに乗り始めた!」という方向けにプロコーチの管 洋介さんからポイントを指導していただきます。普段はロードバイクを愉しむMIZUさんと一緒に学んでいきましょう!(全3回 取材日2月中旬)
すぐに上達! クロスバイクを愉しむための基本の乗り方 その1 装備と姿勢を整える
まずは準備から。必要な装備を整えよう!
管洋介さん(以下 管さん):シティサイクル(ママチャリ)とは違い、スポーツバイクにはあらかじめライトやカギなどが装備されていません。夜間の走行やパンクなどに備えて、安全に楽しく自転車に乗るためには最低限の装備を整える必要があります。
MIZUさん:スポーツバイクはシンプルで軽量なところが魅力ですが、買ったままの状態だと何も装着されていません。
管さん:最低限必要なギアはだいたいこの10種類です。サドルバッグ、フロント&リアライトなどをそろえておけば、安全で快適な走行が愉しめます。それぞれ詳しく見て行きましょう。
管さん:サドルバッグ(❶)は名前のとおり、いす(サドル)に取り付けるバッグのことです。さまざまなサイズがあり、ウインドブレーカーが入るほど大きなものもあります。まずは「携帯工具(❷)、チューブ(❸)、タイヤレバー(❹)」など、出先でのトラブルに対処できるものが入れられれば、ひとまず問題ありません。もちろんこれらをバックパックで携帯しても問題ありませんが、自転車に取り付ければ身軽に走ることができます。
管さん:サドルバッグは防水性が高い素材を使用して、突然の雨でも中が濡れにくくなっています。見た目は小さいですが、意外とたくさん入ります。
管さん:サドルバッグはサドルの下に取り付けます。ベルクロ(マジックテープ)でしっかりと固定でき、走行中の振動でも外れない作りになっています。
水分補給のボトルも自転車に取り付ける
管さん:次にフレームにセットするのはボトルケージ(❶)、ウォーターボトル(❷)、携帯ポンプ(❸)になります。ボトルケージはウォーターボトルを自転車に取り付けるために必要なパーツです。ボトルがあると走行しながらでも水分補給ができるようになるので、ぜひ取り付けておきたいですね。携帯ポンプもバックパックに入れるよりも、フレームに取り付けたほうが身軽で走りやすいと思います。
管さん:自転車本体にはあらかじめボトルケージを取り付けるボルトがセットされているので、取り付けは簡単です。ボルトは振動で緩みやすいのでしっかり止めます。時々走行前にネジが緩んでいないかチェックしましょう。
MIZUさん:ボトルケージのボルトに取り付けることができる携帯ポンプを選ぶと、両方をすっきり収納することができますね。
前後のライトは必ず取り付ける
管さん:続いてライトです。夜間やトンネルの走行時に前方を照らすだけではなく、周囲に自分の存在をアピールする効果もあります。
MIZUさん:最近では日中にライトを点灯する自転車乗りもいますよね。
管さん:スポーツバイクは車道を走ることもあり、自分の視認性を高めることは安全につながります。なるべく明るいものがおススメです。
管さん:フロントには白色、リアは赤色を使用するのは道路交通法で定められているので間違えないでください。盗難防止のため、着脱はゴムのベルトで取り付けられるものが多いですね。簡単にセットできると思います。
管さん:リアライトがない場合は反射板でも代用OKです。赤色であれば問題ありません。
管さん:スポーツバイクは盗難が多いので鍵も携帯してください。写真のように頑丈なタイプや、携帯性にすぐれたワイヤー式もあります。駐車する時のシチュエーションに応じて使い分けてもいいでしょう。
管さん:矢印のところに装備を全て装着してあります。あれだけたくさんギアを取り付けましたが、かなりスッキリ収まっていますね。見た目もスマートだと思います。
乗り出す前は乗車前チェックを忘れずに!
管さん:乗車前のチェックは忘れずに行いましょう。特にタイヤの空気圧はパンクやスリップの原因になりますので毎回必ずチェックして下さい。※乗車前チェックの詳細はコチラから!
服装の選び方を変えるとより快適に
管さん:レースに出場する場合は上下サイクリング用のウエアを着用しますが、それ以外の場合、スポーツバイクに乗る際の服装に特に決まりはありません。ただし、少し服装の選び方に気をつけるとさらに快適に愉しむことができます。
MIZUさん:シューズは自転車用じゃなくても問題ないですよね。
管さん:そうですね。でもソール(靴底)の素材が硬いシューズは、踏力が逃げずしっかりとペダルに体重を乗せることができるので、効率的に走りやすくなると思います。
管さん:トップスは動きやすいスポーツ用のジャージであれば問題ありません。でも、用意できるのであれば自転車用ジャージが最適だと思います。自転車用ジャージは軽さ、吸汗速乾性、背中のポケット(バックポケット)など、自転車の乗車時に使いやすい機能が搭載されているからです。
MIZUさん:自転車用ジャージのバックポケットには、食べ物やウインドブレーカーなども収納しておくことができます。
管さん:もちろん持っていく荷物の量にもよりますが、近場ならバックパックを持たずに済むことも多いと思います。身軽に乗ることができるので、自転車用ジャージのメリットは大きいですね。
管さん:これはストレッチが効いた自転車用のデニムですが、パンツは関節が動かしやすいものを選びましょう。最近はスポーツ用の機能をもったカジュアルウエアが増えているので、幅広く選ぶことができるでしょう。
管さん:グローブは防寒対策のためだけでなく、ハンドルバーを握りやすくし、走行中に手のひらに伝わる振動を軽減します。また転倒した際のケガ予防にも効果がありますので、夏場は指切りタイプを選ぶなど季節に関係なく着用しましょう。
管さん:スポーツバイクはかなりスピードが出る乗り物です。ヘルメットは万一の事故に備えて必ずかぶるようにしましょう。転倒の際に顔面を強打するのを防ぐため、深めにかぶるのが正しい着用方法です。
管さん:ストラップの長さは指が2本入る程度まで調整し、しっかりフィットさせます。
ポジションを調整してみよう!
管さん:乗り手側の準備ができたところで、次は自転車のポジション調整(セッティング)を行っていきます。一番重要なのはサドルの高さです。
管さん:最適なサドル位置は跨ったときに母指球まで地面に着く高さです。とっさに足をついた時にバランスを保てる高さにしておきます。
管さん:乗車姿勢にも気をつけましょう。走行中は背筋を伸ばし、ひじに余裕を持たせます。極端に背中が丸まってしまうとハンドルに体重が乗ってしまい、手のひらが痛くなりますし、バランスも崩しやすくなります。
管さん:ペダルに置く足の位置にも気を付けましょう。一番効率の良いペダルの踏み位置は、土踏まずではなく母指球の位置です。ペダルの中心に母指球がくるようにすることでパワーを効率よく伝えることができます。ここまでを覚えた上で、次回から2回にわたり、基本的な乗り方をレクチャーしていきます。お楽しみに!
- 指導:管洋介さん(右)/国内の有望な若手選手の育成、安全啓蒙を指南するAVENTURA CYCLINGの代表。プロカメラマンでもあり、自転車雑誌の製作に長く関わる。また一般向けにライディングのアドバイスも行っていて、初心者向けのライディングレッスンなどを多く手がける。
- 協力:MIZUさん(左)/ロードバイク、トライアスロンを愉しむスポーツ女子。トライアスロンのアイアンマンレースに挑戦するインスタグラマー。
- 協力:サイクルベースあさひ、サイクルショップよしだ・吉田ルーム