外が暖かくなってきてサイクリングに興味を持っている人、新年度になり自転車通勤をはじめてみようと思っている人も多いのではないだろうか。そう、今こそスポーツ自転車を手に入れて、スポーツ自転車ライフをスタートする絶好のタイミングなのかもしれない。ペダルを漕いで走り出せば、そこには体験したことのない世界が広がっている。
でも、はじめてのスポーツ自転車は、予算感や選び方など、専門的でわからないことが多く一歩踏み出しにくく感じている人も多いはず。そこで、今回、はじめてスポーツ自転車選びのイロハをわかりやすく紹介。スポーツ自転車ショップ大手のワイズロードのスタッフがやさしく教えてくれた。
購入時の不安解消!
はじめてのスポーツ自転車選び 前編
専門スタッフが直接アドバイスしてくれる安心感
単純に自転車を購入するだけでない価値がスポーツ自転車ショップにはある
今の時代、本格的なロードバイクでさえネットで簡単に購入できる時代になっている。ただし、行き当たりばったりで適当なネットサイトで購入するほどリスクが高いことはない。ロードバイクは高価というだけでなく、クルマと同じ乗り物。自分の命を預けるものなので、安全性がきちんと保証されているものを手にしたい。さらに快適に楽しむためには適切なサイズやモデルを選ぶ必要もある。これらがスポーツ自転車の専門知識を持つショップで購入することをおすすめする理由だ。
国内最大のスポーツ自転車ショップを展開するワイズロードも店舗販売以外に自社ECサイトでの購入もできる。ただし、ECサイトからの直送だけでなく、ECサイトからの注文品を実店舗で受け取れる「クリック&コネクト」も選択できるので、店頭で専門スタッフから直接説明を受けての納車も可能だ。
どのモデルが合っているのかわからない
豊富な在庫が並ぶワイズロード新橋店のフロア
今回、はじめてのスポーツ自転車購入の疑問に対して答えてくれるのは、2022年10月にオープンしたばかりのワイズロード新橋店の田渕喬介店長。店長はスポーツ自転車歴15年ほどになり、新橋店の前も大宮店など店長を歴任してきたベテランだ。新橋店はJR新橋駅から徒歩4分のビジネス街のど真ん中のショップであり、仕事帰りに立ち寄るサラリーマンも多い。ピナレロ、ビアンキ、トレック、キャノンデールといった超有名ブランドの専門コーナーを設置し、憧れの最新モデルの展示や試乗も行っている。新橋店独自のサービスとして、スポーツ自転車の初心者に向けた「初心者講習会」も定期的に開催している。
ワイズロード新橋店のロードバイクとクロスバイクフロアへ
不安だらけのはじめてのスポーツ自転車選びもスタッフが丁寧に教えてくれる
幅広いジャンルのスポーツ自転車の楽しみ方を経験してきた新橋店の田渕喬介店長
スポーツ自転車初心者のための「初心者講習会」イベントのボード
スポーツ自転車に限らずどんな趣味でもはじめての場合は、専門知識もなく色々と不安があって当然のこと。はじめてショップへ訪れた人のなかで、もっとも多い質問はなんだろうか。
「まずは、私に合っていますか?という質問ですね。気になるモデルが自分の走りのスタイルに合っているかどうか。そして、その自転車のサイズが適正かどうか。そのような疑問や不安には、まずスポーツ自転車でどのような楽しみ方をイメージしているのかをお聞きします」
具体的には、休日にサイクリングを楽しむためだったり、自転車通勤・通学をはじめるためという目的が多い。きっかけは健康維持だったり、日常的に目にする河川敷を颯爽と走るサイクリストへの憧れだったりする。
まだ見ぬ景色や感じたことのない達成感を求めてロングライドへ
クロスバイクかロードバイクか!?
はじめてのスポーツ自転車の選択肢には大きく2つある。通勤・通学を主としつつも、休日に20〜30km程度サイクリングを楽しむ時におすすめのクロスバイク。もうひとつは休日に50kmを超えるような本格的なサイクリングを快適に楽しむのに向くロードバイクだ。クロスバイクはフラットなハンドル形状が特徴で、自転車の上での体勢はじめ操作性も馴染みやすい。価格は5万円ほどから展開があり、スポーツ自転車の入り口としておすすめできる。
一方でロードバイクといえば、ドロップハンドルに象徴される本格的なスポーツ自転車だ。より楽に長く、より速く走るために設計されている。エントリーモデルは10〜20万円ほどからある。
ショップでも人気のイタリアの老舗ブランド、ビアンキのC SPORT 1クロスバイク
フラットバー形状のハンドルと変速とブレーキ機構は初心者にも安心
ロングライドにおすすめの入門モデル、トレックのドマーネAL2ディスク
ドロップハンドル形状でブレーキと変速の両方を操作できるレバーを装備
「お店にいらっしゃるお客さんのうち、通勤通学での利用を想定している距離は、多くの場合5〜10km程度です。クロスバイクでもいいですし、もちろんロードバイクでも対応できます。どちらにするかは、通勤通学以外のサイクリングでどれくらい乗るかによります」
まずクロスバイクで乗りはじめて、のちにロードバイクに乗り換えるサイクリストは多い。はじめてのスポーツ自転車を選ぶ時に、通勤や通学の足としてだけでなく、趣味としてのサイクルライフを少しイメージしてみると、最初の疑問は解決できるかもしれない。
「お店では、お客様の生活や過去のスポーツ歴などもお聞きしながら相談に乗るようにしています。一概には言えませんが、過去に運動経験がある方は、のちのち本格的にロードバイクでロングライドやレースに挑戦するなど趣味のスポーツとして楽しむ傾向にあるので、最初からロードバイクを選択肢として考えてみても良いでしょう」
休日サイクリングの先にはロングライドイベントも待っている
速さを求めて達成感を味わえるえエンデューロレースやヒルクライムレースは人気
人気のエントリーロードは10万円前後からある
ロードバイクと一言でいってもモデルによって性能が異なる。ロードバイクのルーツは競技用自転車だが、今では競技向け(トレンドはエアロロード)だけでなく、長距離を楽しむために快適性を重視したエンデュランスロードや舗装路だけでなく砂利道などの未舗装路も走破できるグラベルロードなど、そのバリエーションは増えている。今では「ロードバイク=速さ=競技」という考えは変わり、趣味の目的に合わせて、最適な一台を選ぶことができるようになっている。実際にお店に足を運べば、スタッフからアドバイスをもらいながら、愛車をみつけることもできる。
数あるモデルの中からベストな一台を見つけていく過程も楽しい
最近の物価上昇の影響もあり、スポーツ自転車も値上がり傾向にある。モデルによっては100万円を超えるものも増えているが、入門ロードバイクは10万円ほどから探すことができる。今回、ワイズロード新橋店で人気のモデルを教えてもらった。
「確かに全体的に値上がりはしています。それでもメーカーによって10〜20万円ほどで手に入るおすすめのエントリーロードがあります。エントリーグレードとは思えないスマートな作りのトレックのドマーネALシリーズや、ビアンキのニローネ7ディスクなどは、はじめてのロードバイクとして人気のモデルです。もちろん最初から価格帯が上のモデルを選ぶお客様もいますが、ご予算と相談しながらおすすめのモデルをご紹介しています」
ビアンキ・ニローネ7ディスク 18万1500円(税込)
トレック・ドマーネAL2 ディスク 15万円3890円(税込)
ジャイアント・コンテンドAR4 15万円9500円(税込)
キャノンデール・トップストーン4 14万8830円(税別)
サイズは数値でわかりやすく提案
スポーツ自転車を決めるとき、モデル選びと同じくらい大事なことがサイズ選び。より楽に快適に、そして速く走るためには、身体にフィットしたサイズの自転車に乗ることが大事になる。サドルに着座した際に、地面に足が届かない物理的な問題だけでなく、バイクの操縦性や乗車姿勢にも影響をもたらす。サイズが合わない自転車では、身体に痛みなどストレスを抱えやすくなり、スポーツ自転車ライフが長続きしない原因にもなりかねない。
自転車のフレームサイズは、細かく展開しているメーカーが多い。サイズ展開の多い代表的なメーカーとしてピナレロがあり、モデルにより8〜11サイズが用意されている。例えば、人気アメリカンブランドのトレックもエントリーモデルであるドマーネALは6サイズを展開。4サイズを用意するビアンキのクロスバイクなど、スポーツ自転車においていかにサイズが重要であるかがわかる。
ワイズロード独自のサイズフィッティングサービス「バイオレーサー」を使って採寸
手足の長さなど身体の各サイズから最適なサイズを決めていく
「ワイズロードでは、お客様の身体のサイズを細かく測定して、ベストなフレームサイズとポジションをご提案できるように、独自開発のバイクフィッティングサービスを用意しています。数値化してあげることで、候補のモデルのベストなサイズをご案内できます。数字で確認できるのでお客様としても納得感が増すのではないでしょうか」
スポーツ自転車は最適なサイズを選ぶことがとても大事
はじめてのスポーツ自転車を検討される方には、計測する前にまずはその場で自転車にまたがってもらいおよそのサイズ感を確かめることもある。さらに、バイクフィッティングサービス「バイオレーサー」を使い、より正確なサイズ選びやポジション調整を行っていく。ただネットでモノを購入するだけでは受けられない大事なサービス。これこそ、経験豊富な専門スタッフのいるショップを介して、スポーツ自転車を購入する大事な理由のひととつだ。
今回の「はじめてのスポーツ自転車選び」では、初めてスポーツ自転車専門ショップへ訪れるときの不安や疑問に対して基本的なところを紹介した。なんでもはじめてのことは知識がなくて当然のこと。経験豊富なショップスタッフが、あなたにベストな一台を導いてくれるはずだ。
はじめてのスポーツ自転車選びの後編では、バイク選びの一つの基準になっているブレーキシステムの違いや構成パーツの特徴について紹介していく。また、自転車の走行特性を決めるフレーム設計についても解説。さらに、最近ニュースでも目にするヘルメットの着用努力義務化のことなど、スポーツ自転車ライフをスタートさせるために必要な自転車以外の周辺アイテムについて、引き続きワイズロード新橋店の田渕店長にレクチャーしてもらう。
2023年4月1日から着用努力義務が制定された自転車ヘルメット
【ショップ・インフォメーション】
ワイズロード新橋店
住所:東京都港区新橋4-11-1 A-PLACE新橋1F、B1
アクセス:JR新橋駅烏森口から徒歩3分
Tel:03-5422-1394
営業時間:平日12〜20時、土日祝11〜19時
定休日:水曜(祝日除く)
ショップホームページ(新橋店のページ)
https://ysroad.co.jp/shimbashi/
TEXT&PHOTO
ハシケン(橋本謙司)
映像と写真と文字で伝える人。自転車業界のメディアの立場として活動を続けて15年になるフリーランスの自転車ジャーナリスト。専門誌やウェブメディアにて連載をもち、スポーツ自転車の情報を広く発信。e-Mobility協会スペシャルパートナー。日本各地のサイクルツーリズム振興施策、リアルイベントの企画・広報などにも携わる。乗鞍・冷泉小屋スタッフ。過去にMt.富士ヒルクライム一般の部優勝など、自身もアマチュアレースを走り続ける。
https://www.hashikenbase.com