季節の写真集
ここでは、スバル1000の美しい走行写真を集めた小冊子(非売品)の再録をご紹介します。登場するモデルの服装やポーズ、写真に合わせてつけられたコピーなどからスバル1000が登場した当時の時代の雰囲気を感じることができます。
![](/know/museum/subaru1000/img/ph_02_02.jpg)
若者は今年も海に向って走った
ある夏の日の
色鮮やかな想いでを追って・・・
その夏、若者は孤独だった
彼の真っ赤な愛車は、砂利道を蹴り、カーブを抜け
急坂を駈け、悪路を乗り越えて、優美にしかも豪快に走った
だが、輝く太陽の下で若者は孤独だった
![](/know/museum/subaru1000/img/ph_02_04.jpg)
若者はひとりぽっちで走った
夜が明けるから日の暮れまで
カンカン照りにも豪雨の日にも
海辺の道をひたすら走った
![](/know/museum/subaru1000/img/ph_02_05.jpg)
時のうつろい、天候の変化に
したがって変わる海の表情も
若者にとっては単調な灰色
走ることがたった一つの
孤独をまぎらわすすべだった
![](/know/museum/subaru1000/img/ph_02_06.jpg)
そんなある日
砂浜に沿ったハイウェイで
若者は一人の娘と出会った
![](/know/museum/subaru1000/img/ph_02_07.jpg)
娘は白いくるまに乗っていた
二人は海辺でよく顔を合わせ
一緒に走るようになった
![](/know/museum/subaru1000/img/ph_02_08.jpg)
![](/know/museum/subaru1000/img/ph_02_09.jpg)
若者の瞳に明るい輝きが甦えり、彼は
もう孤独ではなかった。森の緑、空の
青、海の紺碧、太陽の紅を讃え、路傍
の石ころや牛たちに話しかけ、しばしば人生の素晴らしさについて語った。
![](/know/museum/subaru1000/img/ph_02_10.jpg)
二人は毎朝早く浜辺で逢って、日が沈むころさよならを言った。
漁村の主婦「似合いのふたりでねぇか」
若者「君を愛しているよ」
子供A「かっこいいな、赤いくるま」
子供B「おらは白い方が良いな」
娘「愛してるワ、でも約束はできないの」
土地の老人「若い者の火遊びじゃろう」
カーラジオ♪誰でも何時かはこんなことをするの・・・
誰でも若くてキレイな時にはね・・・
若者「来年、またここの浜辺で」
娘「・・・」
若者はその夏こうして恋というものを知った