季節の写真集
ここでは、スバル1000の美しい走行写真を集めた小冊子(非売品)の再録をご紹介します。登場するモデルの服装やポーズ、写真に合わせてつけられたコピーなどからスバル1000が登場した当時の時代の雰囲気を感じることができます。
若者は今年も海に向って走った
ある夏の日の
色鮮やかな想いでを追って・・・
その夏、若者は孤独だった
彼の真っ赤な愛車は、砂利道を蹴り、カーブを抜け
急坂を駈け、悪路を乗り越えて、優美にしかも豪快に走った
だが、輝く太陽の下で若者は孤独だった
若者はひとりぽっちで走った
夜が明けるから日の暮れまで
カンカン照りにも豪雨の日にも
海辺の道をひたすら走った
時のうつろい、天候の変化に
したがって変わる海の表情も
若者にとっては単調な灰色
走ることがたった一つの
孤独をまぎらわすすべだった
そんなある日
砂浜に沿ったハイウェイで
若者は一人の娘と出会った
娘は白いくるまに乗っていた
二人は海辺でよく顔を合わせ
一緒に走るようになった
若者の瞳に明るい輝きが甦えり、彼は
もう孤独ではなかった。森の緑、空の
青、海の紺碧、太陽の紅を讃え、路傍
の石ころや牛たちに話しかけ、しばしば人生の素晴らしさについて語った。
二人は毎朝早く浜辺で逢って、日が沈むころさよならを言った。
漁村の主婦「似合いのふたりでねぇか」
若者「君を愛しているよ」
子供A「かっこいいな、赤いくるま」
子供B「おらは白い方が良いな」
娘「愛してるワ、でも約束はできないの」
土地の老人「若い者の火遊びじゃろう」
カーラジオ♪誰でも何時かはこんなことをするの・・・
誰でも若くてキレイな時にはね・・・
若者「来年、またここの浜辺で」
娘「・・・」
若者はその夏こうして恋というものを知った