SUBARU CYCLE FAN CLUB

メンテナンスしていない自転車はよみがえるのか? 洗車とオーバーホールで自転車に安全と快適さを取り戻す(後編)

ほぼメンテナンスなしで使われてきた自転車のメンテナンスを行い、本来の輝きを取り戻すまでを紹介する企画の第2回です。洗車を行った前回に続いて、今回は痛んだパーツを交換して安全に乗れるレベルにまで手を加えていきます(第2回/全2回)。

洗車ではどうにもならないパーツを交換する

前回は「手軽にできる水を使わない洗車」、「徹底的にキレイにする水を使う洗車」の方法を紹介しました。キレイにはなったものの、メンテナンスなしで使用されていた自転車の状態は思ったより悪く、安全に乗れる状態ではありません。

そこで今回は日本最大級のスポーツサイクルショップ「ワイズロード」で見ていただき、安全・快適に乗れるレベルにまで仕上げていただくことにしました。

▲今回、自転車をみていただくのは「ワイズロード・横浜」の松野望士さんです。メンテナンスの腕はもちろん、自転車愛にあふれた若きメカニックのひとりです。

まずは自転車の状態を確認!

松野さん「早速、自転車を見てみますね。洗車してあるのでかなりキレイですね! ・・・でもチェーンやワイヤー類はサビているので交換が必要ですし、一度オーバーホールした方がいいと思います。ワイズロードには手軽にできるものから、徹底的に行うものまでオーバーホールのメニューが3つあります」

オーバーホールA オーバーホールB セミオーバーホール
目安 3年に1度 2年に1度 1年に1度
作業内容 ・パーツを最小単位まで分解、洗浄
・ベアリングの分解、洗浄
・WAXOYL塗布
・ワイヤー全交換
・ブレーキ・変速の調整
・チェーンの注油
・タイヤの空気を補充
・分解、洗浄
・WAXOYL塗布
・ワイヤー全交換
・ブレーキ・変速の調整
・チェーンの注油
・タイヤの空気を補充
・ワイヤー全交換
・ブレーキ・変速の調整
・各部のガタの点検
・チェーンの注油
・タイヤの空気を補充
価格(工賃のみ) 47,300円(税込) 28,600円(税込) 13,200円(税込)

※WAXOYL=塗装を保護するコート加工です。

松野さん「一番徹底的に行うのが"オーバーホールA"です。ほとんどメンテナンスしていないということなので、これがオススメではありますが、交換するパーツ代は別途必要になります。オーバーホールAだと金額も自転車のお預かり期間もかかってしまいます。今回は交換するパーツが多く、全体的な費用が膨らみそうなので"セミオーバーホール"を行って必要なパーツは交換するというメニューでいきましょう!」

松野さん「多少のサビは落とすことが可能なのですが、乗りっぱなしにしていた期間が長いので、今回サビの浮いたパーツの交換をおススメします。上の表にもあるようにワイズロードではセミオーバーホールを年に1回くらいのペースでオススメしています。もちろん使用頻度によりますが、ワイヤーやチェーンは意外と伸びて快適性が失われることがるので、長期間放置しないで定期的に交換することをオススメします」

松野さん「ひとまずざっとチェックしたところ、交換した方がいいパーツは以下の7つです。

①ワイヤー類
②タイヤ、チューブ
③ブレーキシュー
④チェーン
⑤サドル
⑥グリップ
⑦ペダル

"作業費用の予算(約5万円)は伺っていたので、セミオーバーホールの工賃とこれらのパーツを合わせても予算内に収まりそうです。作業をしていきながら、さらに必要なモノがあれば予算の中で随時加えていくことにします。あらかじめ予算を伝えていただければ、予算を調整しながら作業ができるのでこちらとしてもありがたいです」

▲作業効率を高める「メンテナンススタンド」に自転車を装着して作業をしていただきます。

①ワイヤー類の交換

松野さん「まずはブレーキ、変速のワイヤー類から交換していきます。自転車のワイヤーは外側の"アウターワイヤー"とその内部を通る"インナーワイヤー"から構成されています。動くのはインナーワイヤーですが、それを保護するためなどにアウターワイヤーを使用します」

松野さん「ケーブルを交換すること自体は工具があればそんなに難しくないのですが、問題はこれらの調整です。"スムーズに変速するか"、"しっかりと止まることができるか"を調整するのがなかなか難しいので、自分で作業することに不安がある初心者の方は、ショップにお任せしたほうが確実です」

②タイヤの交換

松野さん「タイヤ、チューブの交換もこちらで行いますが、交換の手順はスポーツバイクに乗る人には覚えておいてほしいですね。出先でパンクしたときに、自分で復帰できれば続けて走ることができます」

※過去に紹介したホイールの着脱方法タイヤ、チューブの交換方法。

松野さん「これまで使われていたものはブロックタイヤ(右)ですが、主にアスファルトの上を走るということなので、抵抗が少なく走りが軽くなるスリックタイヤ(左)に交換します。トレッド部分の減りが少なく耐パンク性が高いものなので、タイヤにエアをこまめに入れていればパンクトラブルに見舞われることも少なくなるはずです」

松野さん「タイヤとチューブを外したところ、リムテープが痛んで切れかかっていたので追加でこれも交換します。ホイールとタイヤに挟まれる状態になるチューブを保護するためのパーツです。痛んでいるとパンクの原因になるため、これも定期的に交換が必要になります」

▲今回、リムテープはプラスチック製のものを使用しますが、布製など様々なタイプがあります。

③ブレーキシューの交換

▲上が新しいブレーキシュー、下が古いブレーキシュー。メンテナンスしていないわりには減りが少ないが、ゴムが劣化してカチカチの状態になっていたため交換します。すり減って矢印の溝が少なくなったら交換の合図。

松野さん「このブレーキは金属のホルダーに収まったブレーキシューのみ交換できるタイプなので、古いシューを抜いて、新しいシューを差し込んで交換します」

④チェーンの交換

▲上が古いチェーン、下が新品。定期的に洗浄してオイルを注さないとサビて動きが重くなるだけではなく、乗車中に切れてしまうことも。またチェーン自体が伸びてギアとかみ合わなくなって、スムーズな走りができなることもよくあります。

松野さん「チェーンは画像にあるチェーンカッターを使用して、切る/つなぐを行います。チェーンカッターをチェーンのつなぎ目のピンに当ててハンドルを回すと、ピンが押し出されてチェーンが切れます。反対につなぐ場合はつなぎ目に新しいピンを押し入れます。チェーンはもっともメンテナンスしがいのあるパーツです。キレイに洗ってオイルを注すと明らかに走りが軽くなりますし、チェーンがキレイだと自転車全体がキレイに見えます。メンテナンスの基本なので、試しに自分でやってみてください!」

⑤サドルの交換

松野さん「ひび割れなど劣化が激しいので交換します。サドルは常に体重で圧迫されるため、劣化が激しいパーツのひとつです。高額なものもありますが購入しやすい価格のサドルも多く、交換作業が簡単なのでひび割れなどに気が付いたときには交換したいですね」

▲サドルが固定されているシートポストにあるボルトを緩めて交換する。

⑥グリップの交換

松野さん「手触りを考えて軟らかい素材を使用しているため、グリップも劣化が激しい部分です。触ってネバついている時は交換しましょう。画像のようにグリップとハンドルの間にエアを入れるか、パーツクリーナーを吹きいれるとスムーズに引き抜くことができます」

▲今回交換するグリップは矢印部分にあるボルトで固定するタイプ。着脱が簡単なだけではなく、握りの角度も変えやすくなっています。

⑦ペダルの交換

松野さん「ペダルもクランクの取り付け部分がサビているので交換します。交換するにはペダルレンチ(矢印)という工具を使用します。注意するポイントとしては、右側のペダルは正ネジで左側が逆ネジになっている部分です。着脱の際には気を付けましょう! あと新しいペダルを取り付けるときにはグリスを塗布すると、固着せず取り外ししやすくなります」

街乗りに最適なMTBに変身!

▲まだサビている部分は残るものの、見違えるようにキレイになりました!MTBの無骨な雰囲気を残しながら、通勤や買い物など街で快適に使用できる仕様になっています。

▲ブレーキや変速のワイヤーはすべて新品に。ブレーキレバーの引きが軽くなり、変速の操作をしてもスパッと切り替わるように調整済みです。

▲アスファルトの上でも快適に走れるスリックタイヤに変更。エアボリュームが多いので、段差を気にせず走ることができます。

▲チェーンを新品にしたことによって、全体がキレイに見えるだけではなく軽い力で進めるようになりました!

▲クッション性に優れたサドルに交換したので、普段着で乗ってもお尻が痛くなりにくくなっています。

▲長時間乗っても手が痛くなりにくい人間工学に基づいてデザインされたグリップ。

▲ペダルは踏める部分が広くグリップ力が高いものに交換したので、シューズを選ばず乗りやすくなっています。

工賃、パーツ代を含めた今回の金額は以下のとおりです。

品目 単価(円) 数量 価格(円)
セミオーバーホール (工賃) 12,000 1 12,000
ブレーキケーブルセット 1,063 1 1,063
ケーブルブーツ 212 2 424
シフトワイヤーセット 1,945 1 1,945
タイヤ、チューブ交換 (工賃) 1,200 2 2,400
タイヤ 4,200 2 8,400
チューブ 1,000 2 2,000
リムテープ2本 500 1 500
ブレーキシュー&ピン 670 2 1,340
チェーン 1,546 1 1,546
サドル交換 (工賃) 800 1 800
サドル 2,500 1 2,500
グリップ交換 (工賃) 800 1 800
グリップ 3,800 1 3,800
ペダル交換 (工賃) 800 1 800
ケージペダル 2,250 1 2,250
小計 42,568
4,257
合計 46,825

▲かなりひどい状態の自転車でしたが、5万円以内でかなり見違えるようになりました。

松野さん「メンテナンスしていない状態の自転車でも、オーバーホールすれば安全に乗れるように仕上げることができます。放置してしまうと汚れやサビが目立つことよりも、安全性が損なわれることが問題です。特にブレーキ周りは安全に直結しますので、自分で調整できない人は定期的にお店で見てもらうといいですよ!」

●取材協力/ワイズロード ・横浜(横浜ワールドポーターズ6F)

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