今回、「りょうこん」さんが旅先に選んだのは東北地方の太平洋沿岸部。東京を出発し、ゆっくり6時間ほどかけ三陸自動車道を女川港まで行き、翌日は国道45号線をさらに北上し、釜石まで片道約600kmのロングドライブです。仕事の関係で所縁があったこの地方の復興の様子を、どうしても自分の目で確認したかったと「りょうこん」さんは言います。
「本当はもっと早く来てみたかったのですが、震災直後は復興作業の邪魔にもなりかねず、なかなか来ることができなかった。テレビや新聞などを通じて色々と情報はありますが、実際に自分の目で、被災地がどうなったかを見てみたいとずっと思っていました。」
津波やその後の火災により大きな被害を受けた岩手県山田町では、海と陸の間にそびえ立つ巨大な防波堤を目のあたりにし、人と自然はいったいどう調和していくべきなのかを考えさせられました。一見、綺麗に整備されているように見える「釜石大観音」の展望台のその先には、いくつもの小山になった瓦礫の集積地がありました。陸前高田市の「奇跡の松」と呼ばれる一本松の周りは何もないただ広い土地に吹く埃っぽい風に復興への道のりの長さを感じました。
「海岸沿いをドライブしていると、何もなくなった土地や瓦礫がまだ見えますが、古い建物と新しい建物の境界線のようなものがあることに気づきます。震災の痕がまだまだそんな形で目に見える。目に見えない人の心への傷跡はどうなのでしょうね」